膵炎

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膵炎の特徴

膵炎とは膵臓に炎症がおこることで、腹痛や吐き気、腹部違和感などの症状があらわれる病気です。
膵炎は、一般的に「急性膵炎」と「慢性膵炎」の二つに分類され、それぞれ膵炎とついていますが、別の病気であると考えられています。
慢性膵炎は急性膵炎が慢性化したものと思われるかもしれませんが、急性膵炎から慢性膵炎に移行するケースは少数であり、全く別の病気であると考えてよいでしょう。

「急性膵炎」とは、膵液に含まれる消化酵素が活性化するで、膵臓自体が消化されてしまう病気です。
いつもは正常に消化機能を果たしている膵液ですが、その分泌が異常に高まることで、膵管の壁が壊れ、膵液が膵臓を消化し始めます。
そうなると、膵臓に浮腫や出血、壊死などの炎症症状が起こります。
さらに、炎症を起こした膵臓の組織から、他の臓器へ影響をもたらすさまざまな物質が発生し、血液を経由して、心臓、肺、腎臓などにまで障害が及ぶことがあります。


「慢性膵炎」は、膵臓に炎症がおこることで、長時間を経て膵臓の正常細胞が徐々に破壊されていく病気です。
正常細胞が破壊されることで、線維が増えて硬くなっていきます。
慢性膵炎は急性膵炎が慢性化しておこると考えられがちですが、基本的に急性膵炎とは全く別の病気です。
急性膵炎を繰り返し発症することで慢性膵炎になる人もいますが、ほとんどの場合は急性膵炎を経ることなく慢性膵炎を発症します。

膵炎の症状

急性膵炎は、2〜3日の早期の間で症状が消えてしまうものから、死に至るケースのものまで多種多様です。
初期症状としては、アルコールの過剰摂取や脂っこい食事、暴飲暴食などがきっかけとなり、飲食してから数時間後に、突然激しい腹痛などの症状が起こることが多いです。
ほとんどの場合、上腹部の激しい痛みが起こりますが、これには個人差があり、軽い鈍痛から激痛まで様々です。
また、就寝中や明け方に痛み始めるケースも多くあります。
中には、あいまいな痛みに始まり、時間が経過するにつれてゆっくりと激痛へと変わっていくこともあります。
軽症のケースでは、痛みが上腹部に限られており、炎症についても膵臓自体や周辺部分に限られています。
一方、重症のケースでは膵臓の自己消化が進行して炎症を起こし、膵臓だけにとどまらず、全身に影響が広がっていきます。
なお、腹痛が激しいからといって重症というわけではありません。
重症でも痛みを訴えない「無痛性急性膵炎」のケースもあるからです。
また、腹痛に次いで多い症状が吐き気と嘔吐です。
吐き気や嘔吐はずっと継続し、吐いても腹痛は改善しません。
その他にも、背中の痛みや食欲不振、発熱などがあらわれることもあります。


次に、慢性膵炎の症状についてですが、これはその進行度によって大きく異なります。
そこで、慢性膵炎の初期を代償期とし、順番に移行期、非代償期の症状について以下に解説します。

代償期
激しい腹痛や背部痛など、急性膵炎とよく似た症状があらわれたり、治ったりする期間が長く続きます。
その他、食欲不振や下痢、嘔吐、黄疸、全身倦怠感などがあらわれることもあります。
この段階では、まだ膵臓の機能は維持されています。

移行期
腹痛や背部痛が軽くなってきますが、病状がよくなっているからではなく、膵臓の機能が低下することで痛みがおこらなくなっているためです。

非代償期
腹痛や背部痛はほぼなくなり、消化吸収障害(脂肪便や下痢、体重減少など)が起こります。
さらに、糖尿病を合併します。

膵炎の原因

急性膵炎については、なんらかの原因によって膵臓内で非活性型のタンパク質消化酵素「トリプシン」が活性化することがきっかけとなっています。
膵液の分泌が異常に高まったり、膵液が十二指腸に送り込まれない状態になった場合に、膵臓内での活性化がおこりやすくなるといわれています。
活性化した消化酵素が膵臓を満たすことで、本来機能しない場所で酵素が働きだし、膵臓や膵管の自己消化が起こります。
これが急性膵炎を引き起こすきっかけとなります。

慢性膵炎の原因としてもっとも多いのが、大量のアルコール摂取で、特に男性に多くみられます。
長期間にわたり、1日あたり100グラム以上を飲酒する方は、非飲酒者に比べて慢性膵炎になるリスクは10倍以上となるといわれています。
また、喫煙についても慢性膵炎の危険因子であるとされています。
栄養面では、ビタミンA・C・Eやコレステロール、カリウム、カルシウム、食物繊維の摂取量低下や、高たんぱく・高脂肪食も発症リスクを高めるといわれています。
そのほかにも原因不明の特発性のものや、免疫異常が原因となるケースもあります。
もちろん、急性膵炎を何度も繰り返す人は慢性膵炎に移行することがあります。
以下に代表的な慢性膵炎の原因を列挙しておきます。

・過度のアルコール摂取
・喫煙
・偏った食生活
・高脂血症
・胆石
・自己免疫疾患(膠原病やバセドウ病など)
・副甲状腺機能亢進症
・特発性(原因不明)
・急性膵炎からの慢性化


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